【ディクトグロス】クィア運動の原点『Queers Read This』より
今回からディクトグロスという学習法を応用したコンテンツを配信します。有料会員向けですが、無料会員や未登録の人も音声を聞いてトライすることはできますのでぜひ挑戦してみてください。今回取り上げるのはエイズ運動→クィア運動の歴史で非常に重要な意味を持った『Queers Read This(クィアたちよ、これを読め)』というリーフレットからの抜粋です。
英語勉強中のみなさん、こんにちは! 今日はディクトグロスというのを一緒にやってみようと思います。
ディクテーションなら聞いたことがある、という人は多いと思います。ディクテーションとは、「聞き取った音声を、その通りに一語一句文字に書き起こすこと」です。口述筆記という意味もありますが、英語学習の文脈においてはリスニングの力を伸ばすために使われる文字起こし学習法のことを指します。
一方ディクトグロスは、「メモを取りながら音声を聞き、内容を理解した上で、自分で同じ内容を英語であらためて表現し直す(再構築する)」という学習法です。
ディクテーションとの違いは、再現の正確性を目指さない、ということです。
目指すのは、抜けている情報がないこと、余計な情報を足していないこと、そして(原文と全く違う言い方でいいから)正しい文法を使っていること、です。
たとえば電話で伝言を頼まれた時を想像するとわかりやすいかもしれません。伝言の内容は一字一句覚えている必要はありませんよね。内容がしっかり過不足なく含まれていて、意味が通じないほどの文法エラーがなければ、伝言の役目はしっかり果たせるはずです。
これによって、リスニングの力だけでなくライティングの文法力や表現力も向上することができます。
本来のやり方はメモを持ち寄ってグループで協力し合って再構築するというものですが、一人で挑戦することも可能です。
今回は『Queers Read This』という歴史的文書から抜粋を用意したので、これを使ってディクトグロスをやってみましょう。
紙とペンを手元に用意してから挑戦するとメモが取りやすいのでおすすめです。
聞く前に、キーワードと歴史的背景を確認しましょう
convince 説得する、納得させる
in danger 危険である
relatively 比較的
functioning 機能している(転じて「社会生活が送れている」などの意味も)
rebellious 反抗的な
a revolutionary 革命家
validate 正当であると認める
by all rights 本来なら、普通に考えれば

『Queers Read This(クィアたちよ、これを読め)』は Anonymous Queers という匿名の集団によって書かれ、1990年6月にニューヨークのゲイ・プライド・パレード(当時の名称)で配られた数ページのリーフレットです。
このリーフレットが生まれた背景には、現在LGBTQ+と呼ばれる人々の一部が1980年代後半にクィアという侮蔑的な言葉を自分たちの言葉として再構築し始めた歴史があります。
「クィアで何が悪いんだ」という強気な姿勢を取るようになってきた一部の当事者が、他の当事者に向けて「うちらは虐げられてるんだよ」「ストレートの奴らは特権を享受してるんだ」「異性愛ばっかり優遇する社会はおかしいよな」「この社会のあり方はうちらクィアの命を脅かしているんだ」などと呼びかけているのが、このリーフレットです。
たとえばリーフレットには「怒れ。怒りがあなたを力づけないのなら、恐怖を感じろ。恐怖もダメなら、パニックを起こせ。叫べ!」という言葉があります。末尾には「I Hate Straights(異性愛者を憎む)」というタイトルのエッセイも含まれており、全体として非常に過激で好戦的な表現がたくさん使用されています。
この過激さについて、私たちが冷静な顔をして苦言を呈すことは簡単なことです。しかし、エイズパニック——それは友人や家族や恋人がストレートな社会全体から何年ものあいだ文字通り見殺しにされ続けた経験でした——を経て、当事者の怒りや絶望、悲しみ、悔しさ、恐怖、そしてそれらだけでなく連帯や変革への希望的な志向もが爆発したのがこの時期であることを考えれば、荒っぽさの裏にある政治的重要性に気づけるというものです。
では音声を聞いてみましょう
途中で止めず、最後まで一気に聞きましょう。
おすすめの方法は
まずメモを取らずに最後まで聞く
次に3〜5このキーワードを拾ってメモするつもりでもう一回聞く
次に全体がどんな構成になっているかを意識しながらもう一回聞き、メモに書き足せることがあれば書き足す
次に内容を過不足なく把握するつもりでもう一回聞く → 聞き終わったら自分の文法知識や語彙をフルに使って再構築を試みる
最後に、再構築した自分の文章がきちんと原文と同じ内容になっているか確認するためにもう一度聞く(原文と一字一句同じである必要はなく、情報に過不足がないことが大事です)
というものです。
つまり5回聞くということです。自信のある人は3回でもいいですし、どうしても全然再構築できないという人は8回聞いてもOKです。
では挑戦してみましょう。
(CW: 文中に性別二元論的な表現が出てきます。これについては後述します。)
(この音声は ElevenLabs を使用して生成されました。)
原文と比較してみよう
お疲れ様でした。文章は自分なりに再構築できましたか?
以下にオリジナルの文章がありますが、自分の文章と比べる前に必ず注意して欲しいのは、ディクトグロスで重要なのは「正確に再現すること」ではないということです。
ディクトグロスにおいて正確さは全く重要ではありません。冒頭でも言った通り、重要なのは
抜けている情報がないこと
余計な情報を足していないこと
文法的間違いがないこと
です。
全く違った言い方をしていても同じメッセージを正しい文法で伝えられていれば100点、ということです。
では、自分なりに再現した文章と原文とを比較してみましょう。
(以下の原文、和訳、解説は有料会員限定です。無料トライアル期間がありますのでぜひ登録してみてくださいね。)

