【ディクトグロス】トランス排除に反対するフェミニストの文章から抜粋
「メモを取りながら音声を聞き、内容を理解した上で、自分で同じ内容を英語であらためて表現し直す(再構築する)」というディクトグロス。今回取り上げるのはエミ・コヤマによって2002年に書かれた文章「女性専用スペースの安全性をめぐる政治:対話のための序論」からの抜粋です。
前回のクィア理論の原点『Queers Read This』からの抜粋にはもう挑戦しましたか?
今回のディクトグロスは、米国の活動家・独立研究者エミ・コヤマによって2002年に書かれた『Politics of Safety in Women-Only Spaces: An Opening Statement for the Dialogue(女性専用スペースの安全性をめぐる政治:対話のための序論)』から抜粋して取り上げます。
ディクトグロスとは、「メモを取りながら音声を聞き、内容を理解した上で、自分で同じ内容を英語であらためて表現し直す(再構築する)」という言語学習法です。リスニングの力だけでなくライティングの文法力や表現力も向上すると言われています。
ディクテーションとは違って、抜けている情報がないこと、余計な情報を足していないこと、そして(原文と全く違う言い方でいいから)正しい文法を使っていること、を目指します。
電話で伝言を頼まれた時を想像するとわかりやすいかもしれません。伝言の内容は一字一句覚えている必要はありませんよね。内容がしっかり過不足なく含まれていて、意味が通じないほどの文法エラーがなければ、伝言の役目はしっかり果たせるはずです。
本来のやり方はメモを持ち寄ってグループで協力し合って再構築するというものですが、一人で挑戦することも可能です。
では早速やってみましょう。
紙とペンを手元に用意してから挑戦するとメモが取りやすいのでおすすめです。
聞く前に、キーワードと歴史的背景を確認しましょう
acknowledgement = 認めること、事実であると受け入れること
not necessarily = 必ずしもそうではない
myth = 神話、信じられている通説
perpetuate = 恒久化する、維持する(発音注意:perpetuate / パーペチュエイト。似た単語に「perpetrate =(悪事を)働く」があるが、これは頭にアクセント / パーペトレイト)
invisible = 見えない、隠されている
denial = 存在の否定
sexual assault = 性的暴行
occur = 発生する
women of color = 有色人種の女性
able-bodied = 身体障害のない
justify = 正当化する
exclusion = 排除
inclusion = 包摂、包含
examine = 検証する
hold = (考え方などを)持っている
privilege = 【名詞】特権、【動詞】特権的扱いをする、特権を与える
certain 〇〇 = とある〇〇
エミ・コヤマによって『Politics of Safety in Women-Only Spaces: An Opening Statement for the Dialogue(女性専用スペースの安全性をめぐる政治:対話のための序論)』が書かれた背景には、1976年から2015年まで続いた歴史的なフェミニストイベントであるミシガン女性音楽祭がありました。
このイベントは、1991年にトランス排除のポリシーを掲げて大きな論争を生み出しました。(こちらのインタビューで排除と抗議活動の歴史が語られています。)

出演拒否やボイコットなど猛烈な抗議活動などを受けても運営は一切ポリシーを撤回することなく、結局イベントが40年の歴史を終える2015年まで論争や抗議が収束することはありませんでした。

2002年に米国の有名フェミニスト雑誌『Bitch Magazine』がこの問題について意見の異なる二人の対話を取り上げようと、エミ・コヤマともう1名の論者に声をかけましたが、コヤマがこの序論を送ると、相手は音信不通になってしまったそうです。
コヤマはこの序論の中で、『Borderlands/La Frontera : The New Mestiza』を書いたグロリア・アンザルドゥーアという哲学者(チカーナ・フェミニズム、クィア理論、文化理論)の論を引用し、境界線を引くことこそが不自然なことであること、それによって(境界線が引かれるより前にそこに存在する)人間というものががいかに暴力的に引き裂かれるのかを語っています。
では音声を聞いてみましょう
途中で止めず、最後まで一気に聞きましょう。
おすすめの方法は
まずメモを取らずに最後まで聞く
次に3〜5このキーワードを拾ってメモするつもりでもう一回聞く
次に全体がどんな構成になっているかを意識しながらもう一回聞き、メモに書き足せることがあれば書き足す
次に内容を過不足なく把握するつもりでもう一回聞く → 聞き終わったら自分の文法知識や語彙をフルに使って再構築を試みる
最後に、再構築した自分の文章がきちんと原文と同じ内容になっているか確認するためにもう一度聞く(原文と一字一句同じである必要はなく、情報に過不足がないことが大事です)
というものです。
つまり5回聞くということです。自信のある人は3回でもいいですし、どうしても全然再構築できないという人は8回聞いてもOKです。
では挑戦してみましょう。
(この音声は ElevenLabs を使用して生成されました。)
原文と比較してみよう
お疲れ様でした。文章は自分なりに再構築できましたか?
以下にオリジナルの文章がありますが、自分の文章と比べる前に必ず注意して欲しいのは、ディクトグロスで重要なのは「正確に再現すること」ではないということです。
ディクトグロスにおいて正確さは全く重要ではありません。冒頭でも言った通り、重要なのは
抜けている情報がないこと
余計な情報を足していないこと
文法的間違いがないこと
です。
全く違った言い方をしていても同じメッセージを正しい文法で伝えられていれば100点、ということです。
では、自分なりに再現した文章と原文とを比較してみましょう。
(以下の原文、和訳、解説は有料会員限定です。無料トライアル期間がありますのでぜひ登録してみてくださいね。)

